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2021/04/05 輝く子どもたち特集⑩
~2020年度 学園だより1号より~
『見て聞いて、集まり感じて、学べた喜び』 2年梅組担任 藤田 紗織
突然の一斉休校からもうすぐ1年。ご家庭のご協力のもと、2学期には全校での一斉登校が実現しました。離れ離れだった子どもたちが学校に集まります。それぞれの教室は活気に満ち溢れていきました。学校中が子どもたちのエネルギーでいっぱいです。
皆で学べるようになった2学期の締めくくり、2年生の国語は物語文『かさこじぞう』の学習をしました。昔話は、馴染みのない言葉がたくさん並び、東北の方言も読みづらいものでした。知らない言葉ばかりのため、雪国の貧しいじいさまとばあさまの生活さえもよくわかりません。ましてや2人の気持ちやその時の情景などを思い描きながら音読することは難しいものでした。初めてみんなでお話を音読したあとには、そこかしこから「むずかしいなあ。」「うまく読めない。」「もちこ?ごんぼ?なんのこと?」という声が聞こえてきました。そして、このお話を上手に読めるようになりたいという子どもたちの想いから、学習のめあては「お話が伝わるように音読しよう」に決まりました。
馴染みのない物の名前は写真を用意し、方言も教えて言葉を知り、何を表しているかが分かっていくと、音読していて詰まるところが減っていきました。お家でも音読を繰り返し取り組んでいたことですらすら読めるようになっていきました。
ある日のこと、子どもたちはじいさまの会話文を流れるように読みました。じいさまの様子が伝わるかを聞くと、「おじいさんって、こんなにすらすら喋らないんじゃないかな。」「それもあるんだけど、じいさまの悲しいとか困ったって気持ちを込めないと。」そこから、読みだけでお話を伝えるために、登場人物の気持ちを読み取ることや読み方の工夫をみんなで考えを出し合い学びました。
また、別の日のこと、国語が終わった後の10分休みのことです。教室の後ろの方から「じょいやさ じょいやさ」というかけ声が聞こえてきました。その声は次第に重なっていき、最後には随分と大きな声になりました。見てみると、数人の子が、まるで地蔵さまのようにそりを引く仕草をしています。「もう一回やろ!」「最初はもっと小さくして!」その様子を見て、周りの子が自然と集まって参加していきます。その上手なこと。本当に地蔵さまが来たのかと思いました。そして、みんな楽しそう。
『かさこじぞう』を学習していく中で、集まって過ごすって、こういうことだよなあとしみじみ感じました。五感を使って考え、学ぶこと。共に感じること。そして、自然と集い活動すること。紙面越し、画面越しでは無い活動ができる喜びを噛み締めました。
いよいよ今日から3学期。まずは皆様が健康に過ごせることを祈りつつ、ためらうことなく素顔で集える日がまた来ることを願ってやみません。