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2022/04/03 輝く子どもたち特集⑪
~2021年度 学園だより 1月号より~
『教わるコーチ』 奥村 優香子(4.6年 体育担当)
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
4年生の2学期、体育館で跳び箱の授業中に、コーチの子たちが私に声をかけてきました。
「先生、余っているロイター板ありませんか?」ロイター板とは、跳び箱を踏み切る時に使う跳ねる板です。私は、倉庫から取ってくるよう指示しました。コーチたちは、跳び箱よりも少し離れたところにそれを置きました。しばらく様子を見守っていると、跳べない子が、コーチの用意したロイター板の上を何度か跳んでから、助走をつけて跳び箱に挑戦する様子が見られました。
私が「さっきのロイター板、何に使っているの?」と尋ねると、「○○さんと△△さんは、いつも踏み切りで止まっちゃうから、ロイター板で跳ぶ練習してから、跳び箱に跳んでもらっているの。」と言いました。コーチをしながらよく観察をし、また跳べない原因を追求し、そして解決策を子どもたちなりに考えたことはとても立派だなぁと感心しました。
10歳前後の子どもは運動能力を著しく高める時期にあり、ゴールデンエイジと呼ばれています。脳がやわらかく、身体つきもしっかりしてくるこの年代の子どもは、どんな運動も見よう見まねで、すぐに動作や技術を覚え、身につけることが出来るのです。しかし、難易度がぐんと上がると感覚だけでは、そう簡単には上手くいきません。時には、人の動きをよく観察・分析し、繰り返し練習をする忍耐力が必要だと考えます。
「□□くん、手のつくところが近いよ」と何度も何度も教えるコーチがいました。ある時、「先生!□□くんが7段跳べるようになったので、見てください!」と本人よりテンションの上がったコーチが声をかけてくれました。忍耐の先にある達成感も共有できているようでこちらまで嬉しくなりました。そしてまた、そのコーチも後日「モンスターボックス跳べるようになった!」と大喜びしておりました。子どもたちは、積極的にコーチを経験し、新たな視点で跳び箱に向き合っている姿が多く見られました。
教えているつもりが教わっているとは、まさにこの事なんだと改めて実感しました。